「縄文」といえば、必ずといって思い浮かべる「火炎型土器」と「遮光器土偶」。
私は大学時代に考古学を専攻していたものの、当時は別の時代を研究していたので、縄文に対する知識はほとんど抜け落ち、小中高の歴史の教科書で習ったくらいの知識のみ。なので、やっぱり上のような土器しかぱっと出てこないわけです。縄文土器=派手、弥生土器=シンプル、というイメージ……。
今回の縄文展では、「縄文の美」をテーマに、縄文時代草創期から晩期までの土器や土偶、装飾品などが一堂に集まり、日本における古代の生活がどのように変化したのかを知ることができる。
そして知ったのが、「縄文土器」といっても、その造形美は時代によって異なるということ。
縄文土器は縄目だけでなく、爪や指先、貝などで模様をつけます。草創期、早期、前期は「道具でつけられた文様に面白さを見出した美」とされ、土器にこれでもかっていうくらい模様がついている。中期は「ザ・縄文土器」という感じで、「火焰型土器」に代表されるように「器面に粘土を貼り付けた立体的な美」。そして、後期、晩期は、ぼうやへらなどで「描線として表された構図の美」とされ、縄文部と無文部の対比が施されている。
この大きな流れを見ながら、人のものづくりの変遷にも通じそうだなぁ……と。最初はものづくりの楽しさを覚えたてだからいろいろなことを試したくなり、ついつい知ったことをどんどん盛り込んで華やかになり、ある一定のところまでいったら、余計なものをそぎ落としていく、というような。こういう一連の行動って、普遍的なのかもしれない。
また、今回の展示で初めて目にするタイプの縄文土器も。
たとえば、重要文化財である「人形装飾付有孔鍔付土器」は、土器に人形がくっついていて、しかもその様子が歌っているみたいでかわいらしい。公式サイトでは、美術史家の山下さんが「“縄文のちびまる子ちゃん”と個人的にあだ名を付けて呼びたい」と言っているほどのかわいらしさ。
「土器装飾付深鉢型土器」は、土器の口縁部に土偶が腰掛けていて、「コップのフチ子」の原型か?と思ったり、「山形土偶」は手足を反らせていて、なんだかアイドルみたいな佇まいだな、と感じたり。私たちがかわいい、面白いって思うものって、古代も今も変わらないのかも。
今回の見所は、縄文時代の国宝6点が集まったパートの「縄文美の最たるもの」で、「縄文のビーナス」と「仮面の女神」。後者は7/31から展示なので、私は見ることができず。それでも、かなりのボリュームに満足して楽しむことができました。
「縄文時代って、なんかちょっと野暮ったいんじゃない?」なんて思っていたら、ぜひその先入観を覆されるので見てもらいたい!
会場には、実際に触れるレプリカはいいとして、「推し土偶」のたすきがあって記念写真が撮れるスペースがあり、このちょっとずれた感覚がまた面白かった。
縄文―1万年の美の鼓動
会期 | 2018年7月3日(火)〜9月2日(日) |
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会場 | 東京国立博物館 |
住所 | 東京都台東区上野公園13-9 |
アクセス | JR「上野」駅公園口または「鶯谷駅」南口から徒歩10分、東京メトロ銀座線・日比谷線「上野」駅、千代田線「根津」駅から徒歩15分、京成電鉄「京成上野」駅から徒歩15分 |
電話番号 | 03-5777-8600(ハローダイヤル) |
開館時間 | 9:30〜17:00(金曜・土曜は21:00まで、日曜は18:00まで)※入館は閉館の30分前まで |
休館日 | 月曜日(ただし7月16日[月・祝]、8月13日[月]は開館) |
料金 | 一般=1600円、大学生=1200円、高校生=900円、中学生以下無料 |