現代アートを通じて思考を深める『「なぜ?」から始める現代アート』

新書

現代アートと向き合うと、どうしても「よくわからない」という気持ちになる。そう感じてしまうのは、「一体、これは何を表現しているの?」と、作品から何を受け取ったらいいのかがわからないから。

そんななか出合ったのが『「なぜ?」から始める現代アート』の一冊。著者は、キュレーターの長谷川祐子さん。『女の子のための現代アート入門ーMOTコレクションを中心に』の著作もあり、現代アートをわかりやすく紐解いている。

たとえば、世界でも高く評価されている村上隆さんは日本画出身で、彼の作品は日本画の遺伝子を継承しつつ、それをさらに進化させているのだとか。奈良美智さんや落合多武さんなどの作品にも、日本画の影響があることを述べています。

ほかにも、科学で実証不能なことをアートが解決してくれる可能性がある事例、ピカソの《ゲルニカ》のように、作家が主張せずとも、その作品に政治的メッセージが込められた事例、アートが芸術の分野を越境して、科学やテクノロジー、建築と融合している事例など、「あの作品にはこういう意味が込められている」という一例を知ることができる。

この本でその糸口を知ることができたら、次に作品を見るときは自分でそれを自分なりに解釈していきたいもの。アートと向き合って生まれた「なぜ?」を入り口に、それが「何につながっているのか」を考えることは、今の世界を生きていくうえで欠かせない思考力を養うことにもつながる。

ちなみに、以前読んだ『アート×テクノロジーの時代 社会を変革するクリエイティブ・ビジネス』でも、チームラボの作品と伊藤若冲の作品の共通点や、Takramの思考法が「守破離」に通じていることを解説。過去を知ることは、現在の課題解決や表現の一助となる、といえるのかも。

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