世界的な彫刻家ロダンの作品で、もっともエロティックな大理石彫刻《接吻》が見れるとあって、注目度の高い「ヌード展」。
本展は、英国テートが所蔵する作品から、西洋美術の200年にわたる裸体表現の歴史を紐解くもの。ヴィクトリア時代に描かれたヌード作品から、現代の作品までを一気に観ることができる。
とにかくヌード、ヌード、ヌード! こんなにも描き方や表現方法があるのかと驚きます。フレデリック・ロード・レイトンの《プシュケの水浴》のように理想化されてうっとりするような裸体もあれば、ピカソの《首飾りをした裸婦》のようにダイナミックな裸体もあるし、政治的なメッセージが込められたパークレー・L・ヘンドリックスの作品と、芸術表現としてさまざまな意味が込められていることに気づかされる。
数ある作品のなかでも、特に私が気に入ったのは2つ。一つは、「1章 物語とヌード」のハモ・ソーニクロフトの「テウクロス」。フレデリックの《プシュケの水浴》が絵画での理想的ヌードとするならば、こちらは彫刻のなかでの理想的ヌードなのだとか。弓をひいて矢を放つ姿が、しなやかで力強く、鑑賞しながらうっとり。
もう一つは、「5章 レアリスムとシュルレアリスム」にあった、ポール・デルヴォーの《眠るヴィーナス》。優雅に眠るヴィーナスとは対照的に、その横に立つ虚ろな瞳の女性や激しい身振りの女性たちの様子が、戦争中の不穏さを物語っていた。初めて知った画家と作品だったけど、ぐっと惹きつけられるものを感じた。
そして、本展の目玉といえば、ロダンの《接吻》。どこから見ても、美しかった……。
どこから鑑賞するのが一番エロティックか、そんな見方もしてしまいました。私の中では、この角度が一番エロティックではないかと……。
なぜヌードは人を惹きつけるのか。2章の壁に書かれていたウォルター・リチャード・シッカートの言葉が印象的だったので、最後に。
ヌードという姿が快をもたらす主な原因は、おそらくヌードが本質的に光、温かみ、そして生気の徴候を帯びているからだ。
ヌード NUDE 英国アート・コレクションより
会期 | 2018年3月24日〜6月24日 |
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会場 | 横浜美術館 |
住所 | 横浜市西区みなとみらい3-4-1 |
アクセス | みなとみらい線「みなとみらい」駅3番出口から徒歩3分、JR線、横浜市営地下鉄「桜木町」駅から「動く歩道」を利用して徒歩10分 |
電話番号 | 03-5777-8600(ハローダイヤル) |
開館時間 | 10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで |
休館日 | 木曜 |
料金 | 一般=1300円、大学生・専門学校生=1200円、中学生・高校生=600円、小学生以下無料 |