上野・国立科学博物館「古代アンデス文明展」は土器の形や図象がとにかくかわいらしい

古代アンデス文明展

上野の国立科学博物館で開催中の「古代アンデス文明展」に行って来ました。

古代アンデス文明展

本展は、南米大陸の太平洋岸に展開した巨大で複雑な「アンデス文明」に注目。

アンデス文明と一言でいっても、この地域には先史時代から16世紀にスペイン人がインカ帝国を滅ぼすまでの約1万5000年間、空間的には南北4000km、標高差4500mに及ぶ広大な地域で、ナスカやモチェ、ティワナクなど、多種多様な文化が盛衰を繰り返しました。今回はそのエリアで花開いた9つの文化を取り上げています。

なお、アンデス文明は四大文明とは異なり、文字を持たなかったのも特徴です。

展覧会は第1章から第6章で構成され、6章以外は撮影可能です。

第1章:アンデスの神殿と宗教の始まり……カラル文化の時期に始まった農耕生活や宗教を紹介

第2章:複雑な社会の始まり……地域ごとに独特な宗教が育ち、社会の統一が始まったころのチャピン等の文化を紹介

第3章:さまざまな地域文化の始まり……黄金を使った装飾品や独創的な土器をつくったモチェ文化と、ペルー南部海岸で宗教儀礼に使ったとされる地上絵やピラミッド型の神殿をつくったナスカ文化を紹介

第4章:地域を超えた政治システムの始まり……この時期に起きた前例のない文化的混乱や自然災害という変動期に、生き残りをかけて勢力の拡張に力を傾けていた、ティワクナ、ワリ、シカンの3つの文化を紹介

第5章:最後の帝国ーチムー王国とインカ帝国……アンデス文化の最後を飾った、チムーとインカという二つの文化の覇権争いと、スペインによる征服までの短期間に広大な地域を支配したインカ帝国の実像に迫ります

第6章:身体から見たアンデス文明……アンデスを通してどのような文化変化が起こったかを頭骨とミイラから考察

出展:特別展会場MAP

古代アンデス文明展

左から「ネズミ型象形鎧型土器」「刺青またはフェイスペイントをした小像」「蛇・ネコ科動物土器」(クピスニケ文化)。私はこの中央の小像の「ぬーん」とした表情が好みでした。お腹に穴があいている場合は、オカリナとして吹奏できるのだとか。

古代アンデス文明展

「座った男性をかたどった2色鎧型注口土器」(左)は真ん中で塗り分けられているのが斬新。これは文化人類学でいう「半族」のような社会構造を象徴している可能性があるのだとか。

「ガイナソの双胴壺」(右)は左腕に四角い盾、右手に戦闘用の棍棒を持った男性を表現。双胴壺は液体を半分ほど入れて傾けると、内部の空気が壺の上部の小さな穴から押し出されて、笛のような音が鳴ることが多いそうです。

古代アンデス文明展

どちらも水筒。ぷっくりとしたデザインがかわいい。

なんて美しいのか……とうっとりする「金の胸飾り」などの装飾品。金細工の技術の高さにも驚かされます。

古代アンデス文明展

そして衝撃だったのは、「死んだ男性と生きている女性の性行為を描写した鎧型注口土器」。

モチェの人々は死を生命の一段階と捉え、死者が生者と相互関係を継続する生活の重要な一部となっていた。

出展:作品解説

今の感覚からすると、なんとも理解が難しい……。でも、それだけ死が生と身近にあったからこその感覚なのかもしれません。

古代アンデス文明展

そして、織物は色鮮やかで、南米の雑貨ショップで見る色だなと、美術的な観点というよりも身近なものとして見ていました。

古代アンデス文明展

ちなみに、ちょっと残念だったのは「VRウユニ塩湖」。南米の神様「エケコ」になってウユニ塩湖を旅しようということだったのですが、ウユニ塩湖を楽しむということではなく……。エケコにさまざまなミニチュアをつけると運気が上がるそうなのですが、それを座りながら体験するだけでした。個人的には、VRで体験するほどのものでもないかもと思ってしまいました。

どの時代にも共通していたのは、土器や図象のかわいらしさ。表情や佇まいが、日本の土器や土偶などとはまた雰囲気が違うんですよね。

南米は日本からすると距離も文化も縁遠い国。その一端を垣間見れたのは面白くもあり、南米を訪れてみたいという気持ちが高まりました。

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