男性優位主義によって忘れ去られかけた「アイリーン・グレイ」の生き様

アイリーングレイ

渋谷Bunkamuraのル・シネマで上映中の『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』。

ル・コルビュジエといえば、建築に詳しくなくてもその名を知っている人が少なくない建築界の巨匠。日本では上野の国立西洋美術館を設計したことで知られ、代表的な建築には「サヴォア邸」や「ロンシャンの礼拝堂」などがあります。

アイリーングレイ

その彼を惹きつけたのが、家具デザイナーで建築家のアイリーン・グレイ。彼女が恋人と住むのに設計した建築処女作「E.1027」は長くル・コルビュジエの作とされ、彼女の存在は歴史の影に覆い隠されていました。本作は、アイリーン・グレイの手掛けたE.1027をめぐる数奇な運命を描いたもの。

私が女性だからか、作品を見ながら感じたのは男性優位主義へのもどかしさ。自分の建築として生み出したのに、自分の仕事としての評価が得られないことに対する悲しさが湧き上がってきました。

上記の記事に以下の言葉があります。

「言ってみれば、男たちの嫌がらせのせいで、彼女は輝かしい建築家にふさわしい評価を得られなかった、ということです」とマクガキアンは説明する。

まさにここに表されている一言。

ぐぬぬと腹立たしい気持ちはあるものの(苦笑)、私はアイリーン・グレイの次の言葉が心に残りました。

「物の価値は、創造に込められた愛の深さで決まる」

「住宅は住むための機械である」というル・コルビュジエの考えに異議を唱え、そこに住む人のに寄り添う手法をとった彼女は、ル・コルビュジエの怒りを買います。でも、私は自分が女性だからかより一層彼女の信念に共感を覚えます。

アイリーングレイ

孤高のデザイナーとして、彼女がどんな人生をたどったのか。建築に興味のある人はもちろん、そうでない人も、彼女の仕事への姿勢やその美学を見ることができる点で楽しめるのではないでしょうか。

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