「オットー・ネーベル展」はクレーやシャガール好きと親和性あり

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「オットー・ネーベル展」。

ネーベルの初期作品である「山村」(1925年)、「アスコーナ・ロンコ」(1927年)、「コッヘル」(1925年)は、見るとシャガールの絵を思い出します。

赤や緑、黄、青などの鮮やかな色彩、重力や左右に捉われない自由な発想と幻想的な描写、大きな頭部や街並みのモチーフは、シャガールの影響を大きく受けているそう。この初期のときは、ネーベルはまだ自分の絵の方向性を模索していたのだとか。

そして転機が訪れるのが1931年。ネーベルはイタリアを旅行するのですが、イタリアの光あふれる街の様子に感性を激しくゆさぶられました。

光の量や色の濃淡を記録し、色の違いを詳細に記録していきます。これが、本展で見所のひとつとなっている「イタリアのカラー・アトラス(色彩地図帳)」です。のちの絵画制作時にはこのカラー・アトラスを手本にし、初期作品とイタリア旅行後では色の使い方ががらりと変わります。

展覧会ではネーベルと交流のあったパウル・クレーの作品も多く展示されているのですが、クレーとネーベルの作品は、ぱっと見よく似ています。

色彩のハーモニーや色使い、場面構成といった全体のイメージは似ているのですが、実は手法はまったく異なるもの。クレーは線描ですが、ネーベルは絵の具を地層のように何層にも重ねています。しかもそれは細い線で、違う色、違う方向で構成されているのです。

「5.千の眺めの町 ムサルターヤ」のパート以降の作品をよ〜〜〜〜く見ると、赤の下に青、青の下に紫の線があったりと、本当に繊細。クレーの孫が語ったネーベルとのエピソードに、ネーベルは自分の描いた絵の線の数を把握していたというから驚きです。

ちなみに、これらの知識は藤井隆さんのナレーションから得ました。14分と少し長めですが、作品への理解がとても深まるのでおすすめ。

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