芸術かポルノか。映画『クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代』

私はクリムトの作品は好きで、現在東京都美術館で開催中の「クリムト展 ウィーンと日本1900」を2回見に行ったけど、エゴン・シーレの作品は“なんとなく苦手”と思い避けていた。

この映画も、シーレの名前はあるものの、クリムトの作品がいろいろ見れたらいいな、そういう映画かな、そんな気持ちで見に行くことに。

ところが、そんなふんわりとしたイメージを打ち壊す、骨太なドキュメンタリー。クリムトやシーレを中心にウィーン分離派の歴史を紐解くのに、ワーグナーやフロイトなどの言葉を引用しながら、当時のウィーンの様子を浮かび上がらせている。

シーレについては、当時美術界ではなく、ポルノ界として作品が売買されていたことが触れられていた。

そもそも、芸術とポルノの線引きは、一体どういったところにあるのだろう。つくり手が芸術家、画家などとして打ち出していることなのだろうか。作品のメッセージ性の有無? シーレだけでなく、現代でも、作品が「芸術かポルノか」は話題に上ることがある。

シーレの抱いていた孤独や、死への恐怖。そこから生まれた過激な作品の数々。クリムトについて楽しめたらいいな、と思っていたものの、むしろいままで苦手と思っていたシーレのほうに関心が高まるきっかけとなった『クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代』。絵画の鑑賞前に映画を観ると、時代背景や当時の人たちのつながりに思いを巡らせやすくなりそう。

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