「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」。実物だからこそ感じられる色合いや質感

10年くらい前、「海外旅行が好きで、教科書や本で見た絵画や建築を実際に見れるのが楽しい」と話したら、「今ならグーグルアースとかでも十分楽しめるのに、わざわざ?」と疑問を投げかけられたことがある。

そう言われて、「たしかに……」と思いながら、なんで自分は“わざわざ”見にいくのか、うまく説明することができなかった。

東京ステーションギャラリーで6/16まで開催中の「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」展。

ルート・ブリュックはフィンランドのセラミックアーティストで、アラビア製陶所の専属アーティストとして活躍。私は電車のつり革広告を目にし、「綺麗だな」と思ったから見にいくことに。

3階から2階に向かう順路で、彼女の初期の作品から後期の作品までを辿る。

初期の作品は人物や動物など、具象的なものが中心。後期になるにつれ、タイルを組み合わせた抽象的なものへと変わっていく。作風はガラリと変わるけれども、釉薬の深みのある色合いや透明感、質感、光の当たり具合で表情が変わるところは、どの作品にも通じていた。

私は書籍『はじめまして、ルート・ブリュック』を買ったけれど、やっぱり実際に目にして感じた作品から醸し出される気高さは、本で表現されるものとは異なる。ルート・ブリュックの作品は、本物を見ることでこそ、色への愛情が心に響いてくる。

もちろん、本や写真で見ることのできる良さもある。実際、私は購入した本を何度も眺めていて、むしろ毎日のように眺めていたのもあって、もう一度見たい! という気持ちが強まり、見に行ったのだから。

本物を見るからこそ感じられる良さがあるし、それは言葉では表現しつくせない心の動きが生まれる。だから、“わざわざ”見にいくんだよねと、いまなら言えるかな。

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